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◆駿急作者・鉋木氏架空インタビュー2◆
2021年6月のインタビューでは、休日ダイヤだのノベルゲーム版『駿急少女』だのを作るとほざいていた駿急作者・鉋木。
あれから2年半、サイトには休日ダイヤはおろか完成したはずの平日ダイヤもなく、ノベルゲーム版『駿急少女』の制作告知もサイトリニューアルでついに消えてしまった。
彼は今、何を思うのか――。
編集部の再三の取材依頼に、ついに鉋木が沈黙を破った。

2023年12月某日、鉋木が取材場所に指定したのは、静岡県東部のとあるカラオケボックスだった。
――今日はよろしくお願いします。
鉋木「こちらこそ、よろしくお願いします。」
鉋木の1曲目は『Signalize!』。
鉋木「ジョイサウンドはアイカツのアニメ映像が沢山あるんですよ。次は『カレンダーガール』でいきましょうか。」
――いや、そろそろインタビューに入りたいのですが。
鉋木「はい、そうですね。」

ホームページ開設5周年
――まずはホームページ開設5周年、おめでとうございます。
鉋木「ありがとうございます。」
――開設からの5年を振り返ってみて、いかがですか。
鉋木「うーん……『3歩進んで2歩下がる』みたいな5年間でしたね。」
――それはどういうことでしょうか。
鉋木「ストレートに5年間制作が進行していれば、今頃はコンテンツのジャングルのようなサイトになっていたと思います。 でも実際には設定変更の連続で、サイトの規模感は開設当初からあまり変わっていません。 ダイヤだって何度も白紙撤回していて、今も完成していません。」
――なるほど、既存コンテンツの設定変更に終始して、見込んでいた発展はできなかったと。
鉋木「はい、そう思います。」
――確かにサイトの更新履歴をみると設定変更が多いですよね。これはどのような理由で行ってきたのでしょうか。
鉋木「過去の自分が作ったものへの違和感が原因ですね。 些細なことでも気になってしまい、そこから先の全てが納得できなくなる。 じゃあ納得できるように変えなきゃいけない、って感じですね。」
――駿急を今の自分が納得できるようにしたい、という拘りからなんですね。
鉋木「その通りです。 駿急は私1人で作っているものですから、私が「これはちがう」と思ったら、問答無用ですぐに変えられてしまうんですよね。 自分の理想の作品を作るのによい環境であると思いますが、簡単に後戻りできる分、前に進む力は弱いんですよ。」
――設定変更はどういったところで行ってきましたか。
鉋木「そうですね……。駅が増えるとかルートが変わるとか車両が設定ごと消えるとか逆に増えるとか……。正直昔のことはあまり覚えていません。」

設定変更との向き合い方
――現在、設定変更についてどのように考えていますか。
鉋木「なるべくなら無いほうがいいし、無くしていきたいけど、時には必要なものと考えています。」
――そう考える理由は。
鉋木「まず、設定変更していると制作全体が進みません。 変更すると、過去膨大な労力をかけて作ったものが無駄になります。 ダイヤなんかが最たる例です。」
――それでも必要なときはある、と。
鉋木「はい。これは私の性格の問題かもしれませんが、やっぱり私の駿急は現在の私が納得できる形であってほしいんです。 ここは譲りたくないところです。 納得できないと、その先の制作のモチベーションも上がりません。」
――設定変更は最近も続いているのでしょうか。
鉋木「少しずつ減っているとは思います。 年数を経て熟成してきたというのももちろんありますし、設定変更をなくす努力の成果でもあると思います。」
――どのような努力をされているのですか。
鉋木「設定を作った時の思考プロセスを記録することです。 設定変更をするときって、昔の俺は一体何を考えてこれを作ったんだ?と思うことが多いんです。 まあ、初期の設定は実際何も考えて無かった、っていうのも多いんですが。」
――具体的にはどのような形で記録しているのですか。
鉋木「一番効果を実感しているのは駅乗降客数の設定です。 駅の乗降客数を考えるときは、同じ規模感の実在駅のデータを参考にするんですが、設定を作るときにその参考にしたデータを書き留めておくんです。 それで時が経って「何かこの駅多くね?/少なくね?」みたいな「違和感」がうまれたとき、これを見返す。 そうすると、当時の考え、というか考えの根拠を確認できで、「まあこういう考えならこれでいいか。」となるんです。」
――なるほど、過去の自分に問い合わせてる感じですね。
鉋木「そうです。あとは考え方を残すようにしていると、自然と設定を作るときに直感ではなく根拠を求めるようになります。これによって、よりよい設定が生まれているという側面もあると思います。」
――今後も設定変更はあり得ますか。
鉋木「昔の設定と比べてはるかによくできた設定だと自負していますが、それでもないとは言い切れません。 なので、変更とうまく付き合う手段として、成果物にバージョン制度を導入しました。」
――それはどういったものでしょうか。
鉋木「私は現在ソフトウェア開発の仕事をしているのですが、この業種は変更とうまく付き合っているなとよく思います。 どんな仕様書やソースコードにもバージョンがあって、変更履歴が残してあるんですよ。 これを架鉄制作に輸入したのです。 具体的な運用としては、影響範囲の小さい変更やコンテンツの追加によるHP更新はマイナーバージョンで、影響範囲の大きい設定変更はメジャーバージョンで管理していきます。 とりあえず、今回のサイトリニューアルはV2.0としています。」
――つまり、設定の管理をしやすくするのが目的なんですね。
鉋木「はい。それからもうひとつ、常にその設定における完璧なものを出す、という心持ちにもつなげたいと思っています。 HPへの公開を、成果物を納品するような感じにしたいなと。」
――なるほど、よくわかりました。
鉋木「なんかのっけから重い話になっちゃいましたね。とりあえずここらで1曲歌いましょうか。」
鉋木の2曲目は、聖飢魔Ⅱの『白い奇蹟』だった。(ラスサビの転調で爆死していた)

今回のサイトリニューアルについて
――先日サイトのリニューアルが行われましたが、改めてどのようなリニューアルかを教えてください。
鉋木「まずやろうと思ったのがディレクトリ構造の整理です。 これまではホームディレクトリ直下にHTMLも画像も無造作に置いていて、非常に管理しづらくなっていました。 これを「路線」や「車両」などのカテゴリーにフォルダ分けし、さらに「富士線」や「5000系」などの項目ごとのフォルダも作っています。 この辺りは「納品物」というところをかなり意識しています。」
――てっきり架空世界視点のページと現実視点のページを分離することが目玉だと思っていたのですが。
鉋木「確かにそうですが、きっかけはディレクトリの整理です。 その過程で分離もやっちゃうか?という流れです。 実は視点ごとの分離は結構前から考えてはいたんですよ。」
――入口のページはかなりシンプルですよね。
鉋木「そうですね。最低限の案内書きができれば十分という思想で作りました。」
――でも『駿急電車のりば』という名称は面白いですね。
鉋木「ここは遊び心です。 初めは成果物ページへの移動ボタン用に作った画像だったのですが、5000系モチーフのアイコンがかなり気に入りまして、これもうタイトル画像にするか!となりました。」
――他にリニューアルで変更を加えたところはありますか。
鉋木「現在の設定に基づいていないガラクタを一掃しました。 従来ギャラリーページの下の方にあったやつですね。 少しもったいない気もしますが、納品物にガラクタを含めたくなかったのが理由です。」
――リアルタイム発車票や方向幕シミュレーターもなくなってしまいましたね。
鉋木「リアルタイム発車標は現設定のダイヤが完成したら必ず作ります。 一応本業プログラマーの端くれになったので、今ならもっと綺麗な設計にできると思います。 方向幕シミュレーターは、いずれ車両紹介の一部に持ってきたいですね。」

ダイヤ組み、どうなってるんですか?
――ダイヤの話が出ましたのでお伺いします。今どういう状況なんですか?
鉋木「現設定になってから本格的に作り込んでいて、山場を迎えている感じです。」
――本格的、というのは従来のダイヤ組みとは違う、ということでしょうか。
鉋木「はい。まず、路線の測量作業から始めました。」
――架空路線の測量、ですか……?
鉋木「はい。昔作っていたダイヤの運転時分は、カーブでの制限速度はかなり適当に、分岐器通過の制限速度は無視という、ざっくりしたものでした。 それを出来る限り正確に計算したいと思ったんです。どこのカーブをどのくらいの速度で通過するのかも知りたかった。 なので、まずは正確なキロ程と曲線半径を導出するところから始めました。」
――具体的にはどうやって「測量」したんですか?
鉋木「illustratorで線形を作って、オブジェクト情報のパスの長さから計算していく感じです。 これで曲線区間の位置や曲線半径、ついでに路線の正確なキロ程を導くことができました。 詳しいやり方は、このTwitter……オット!今はXでしたか(笑)のツリーにまとめてます。https://x.com/kanna_gi/status/1578628454009839616?s=20」
――大変な作業ですね。
鉋木「はい。ですが得るものは大きいです。 ここから区間の制限速度を計算してランカーブを引き、正確……というかより論理的な運転時分を計算することができました。 また、導出された正確なキロ程は路線設定ページのほうにもフィードバックしています。 三保線、静浦線、徳倉線はまだ測量を行っていませんが、路線が短いので、空想鉄道で計算したキロ程とそう変わらないと思います。」
――その先はどのように進めましたか。
鉋木「運転時分が分かってしまえば、あとはOudia2ndで基準スジを引いて日中パターンを組んでラッシュ時を組んで……とお決まりの流れですね。」
――今はどの辺まで進んでるんですか。
鉋木「日中パターンは確定して、ラッシュ時の基本パターンも作成済みです。 今回はラッシュ時も30分サイクルにして、全体的な構築をやりやすくしたのがミソです。 ここから先はこのパターンを組み合わせて、パターン外の朝ラッシュピークを考えて、初電や終電を考えて、運用を組んで……という流れですね。」
――先は長そうですね。
鉋木「ダイヤの話したら疲れました。1曲歌わせていただきます。」
鉋木の3曲目は、春音あいらの「Dream Goes On」だった。

ノベルゲーム版『駿急少女』の今
――今回のリニューアルでノベルゲーム版『駿急少女』の制作告知をしれっと消しましたね?
鉋木「バレたか……。(小声)」
――制作は中止、ということですか?
鉋木「まあそうとも言えます。 駿急少女として一部の車両紹介ページに登場する狩野川香貫さんと用宗千浜さんが登場するノベルゲームの構想は最近まで考えていましたが、なんか面白くなるビジョンが見えないんですよね。」
――それはどうしてですか。
鉋木「設定がありきたり過ぎるんです。鉄道好きな女の子と部活モノ……と書けば珍しく思えますが、構造としてはアニメやラノベで語りつくされているものだと思います。 本当に物語を作るのが上手ければここから面白い話を作れると思いますが、私は残念ながらそうではないので、ある程度特殊なシチュエーションを作って勝負したいと考えています。」
――つまり、ノベルゲーム自体はまだ作るつもりでいるんですね。
鉋木「そうです。」
――どのような内容を考えているんですか?
鉋木「まだ言えません。」
――公開時期はいつ頃ですか。
鉋木「わかりません。 少なくとも平日・休日のダイヤが完成するまで作るつもりはありませんから、年単位で先になると思います。 私が20代のうちに出せたら上出来だと思います。」
――本当に制作する気あるんですか?
鉋木「ありますよ。でも今はもう1曲歌わせてください。」
4曲目はCOMPLEXの『恋をとめないで』だった。鉋木のレパートリーは女児アニメソングと懐かしJ-POP以外ないらしい。

駿急沿線民として
――そういえば、今年から駿急沿線にお住まいなんですよね。
鉋木「沿線……かどうかは怪しいですが、静岡県東部に住んでます。」
――実際に住んでみていかがですか。
鉋木「なんというか、鉄道を使う機会がほとんどなくなりましたね。買い物はショッピングモールに車出せば終わりですし、むしろ東京ではなんで電車使ってたんだっけ?って感じです。」
――やはり車社会ですよね。
鉋木「そんな中でも、会社の人たちが伊豆箱根鉄道を「いずっぱこ」と呼んでいるのはちょっと嬉しかったですね。ほんとにこの呼び方で親しまれてるんだなぁと。」
――率直に聞きます。もし駿急があったら、使いますか?
鉋木「日常の買い物では使わないかと思います。駿急世界でも東部は車社会の想定なので。 でも、現実より発展してる沼津とか、静岡に用があるときには使いたいですね。店に駐車場がないような街中だと車を止めるのが億劫になりますし、下道で静岡まで行こうとすると結構渋滞するんですよね。 あと単純に1人なら電車の方が確実に安いです。」
――東部の住民の鉄道との付き合い方は現実とさほど変わらないみたいですが、中部だと事情が異なってくる感じでしょうか。
鉋木「そうですね。静岡都市圏は「小さな大都市」の文脈で、首都圏に近い鉄道利用があります。地下鉄もありますしね。」

今後の駿急制作
――最後に、今後の駿急制作について教えてください。
鉋木「やはりダイヤです。こいつからはやはり逃げられません。」
――逃げたいんですか。
鉋木「逃げたいですよ。架鉄で一番辛い作業です。ダイヤグラム生成AIの開発はまだですか?」
――ダイヤグラムはいつ頃公開できそうですか。
鉋木「そうですね……。順調にいけば今年度中には公開できる……いや、できるか……?」
――順調にいくことを願っています。
鉋木「……はい。」
――それでは、本日のインタビューは以上となります。
鉋木「では、最後に一緒に歌って締めましょう。」
――はぁ。サライか何かですか?

・・・・・・

鉋木「ワン、ツー、スリーフォ~」
――Yes!
鉋木「プリキュア~」
――ファイブ!

もう二度と取材にカラオケボックスは使わないと心に誓った。

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